Last modified: Sat Jun 28 11:01:19 LMT 2003
前回の「インターネットで生ガット弦を手にいれようっ!」に引き続き、 今回は、私がインターネットを使ってクラシカル弓を手に入れるまでの顛末記です。 クラシカル弓とは、バロック弓からモダン弓に変化した時に存在したタイプの弓で、 バッハの息子達、モーツァルトやベートーヴェンの初期ものを弾くのに最適な弓です。
2000年4月、甲府の古楽コンクールに弓の製作家を求めて遊びに行ったところ、 誰も来ておらず、発注できなかったので、いっそガット弦の時と同じように、 インターネットで発注できないかやってみよう!と思い立ちました。 日本にはバロック弓の製作家はいないのかしらん?
折しも、暇なゴールデンウィークも手伝って、 自宅でウェッブサーフィンを楽しんでいたところ、 David T. Van Zandt というヴァイオリン製作家(http://www.seatac.net/dtvz/)の リンク集 に行き当たりました。試しに、 右端にあるPeriod Bow Makers Listというのをクリックしてみると、 20名ほどのバロック弓の製作者一覧と連絡先、 ホームページやe-mailのアドレスが出現しました。
その時私は、クラシカル弓にどんなタイプがあるのか知らなかったため、 とにかく掲載されているBowの製作家のホームページを 片っ端から見てみることにしました。もっともページが充実していたのは Ralph Ashmead (http://www.ashmeadbows.com/)というカリフォルニアの製作家のもので、 顧客一覧を見ると、John Holloway, Nobuko Imai, Jaap Schroder, Elizabeth Wallfish, Yukimi Kambe など、 著名な音楽家に弓を供給している方であることがわかりました。
初めてなので多少不安があったものの、見積書のフォームも完備されているため、 写真を見て気に入った、シンプルなクラシカル (E.Doddタイプのスワンヘッドで、フロッグはマンモスのアイボリー製のもの) を選び、材質や木の堅さ、粘り、要望などをいろいろ書き込んで、送ってみました。 この見積書では、「Transitional」というのがクラシカルにあたります。 また、先に送料30ドルを送らなければならないようだったので、 カードで引き落とすことは可能かどうかも、併せて訊きました。
2日後、メールで返事が来ました。 1700ドル+送料30ドルでいかがでしょうという返事でした。 他に、「現在ストックがないので、これから作ることになります。 オーダーメードになるので弓の半金以上と送料30ドルと併せて880ドルをください。 カードは事故が多いので郵便為替か、銀行振込で送金をしてください。 銀行振込だったら口座番号をお教えしますので。」 という趣旨の文面が一緒に添えてありました。
ドルだての郵便為替のやり方がわからなかった私は、 銀行振込をすることにしました。銀行だったら、 トラブルがあったときにもやりとりが残るので良いかなぁ、 ということでの選択です。最初、全額送金してしまおうかとも考えたのですが、 このときは1ドルが109円とちょっと高かったので、 言われた通りの半金+送料を入金しました。
振込後、「振込を確認したので、正式にオーダーがあったものとして、 製作に入ります。」との旨、メールがありました。
6月の下旬に現物が到着しまして、メールの趣旨に添った、 細身で粘りがある弓が送られてきました。 経験上、最近の新作弓は細身できちんと重さのある材質で作ったものが少ない (いわゆる目が詰まっていない材質のため太くなってしまう)感じがしているのに、 ちゃんといい材料で作られているし、また、 重さのある材質で作ったものでも節がたくさんあるために濃いニスを使うこと が多いのに対し、 明るいニスで製作されており、材質にも自信を持っている印象を受けました。
使ってみてとても気に入ったので、残りの半金を振り込み、 購入成立と相成りました。 この週のレートは106円から105円にシフトしつつある時で、 この付近でのドルの最安値をにらんでの振り込みとなりました。
最終的な出費は、199,721円となり、 自分の中で考えていた30万程度の出費になるのでは?というハードルは、 無事クリアしました。
さて、購入の際の費用的なところですが…。 銀行振込の場合、私は三和銀行から送金したのですが、 一回の手数料が6,000円と高く、 半金ずつ送金すると6,000円余計にかかってしまうのが ちょっともったいなかったかなぁという印象です。 でも、ドル安を受けた為に、仮に109円の時に全額入金したのと、 実際とでは3,000位しか差がでなかったので、 初めてとしては上首尾かと思っております。 海外から楽器を購入する際には、円の動向、 手数料などきちんと計算しての購入が良いと思います。
といったところで、モダンの楽器でバロックをを弾いている方へ 弓を変えるだけでだいぶバロックへのアプローチが違ってきますので、 ぜひ、モダン弓の次にもう一本、というときには、 バロック弓、クラシカル弓の購入をお勧めします。
以上、またまた体当たりレポートでした。