もう街はクリスマス一色で、 ラジオ(*1)を聴いていてもクリスマスソングばかり。 やはりクリスマスが近付くと、なんとなくウキウキしてくるのは、 幼少の頃にプレゼントが貰えたりしたことによる刷りこみなのかな、 なんて考えたりしてしまいます…。 Pop業界ではこの時期は掻き入れ時で、 例年多数のスペシャルアルバムがでているようですが、 最近はどうも売上が鈍ってきているとか。
では、古楽でクリスマスを楽しんで見るにはどうしたら良いか。 宗教と音楽が密接に結び付いていたヨーロッパのことですから、 クリスマスに因んだ曲は多く、有名どころでは J.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」やA.コレルリの「クリスマス協奏曲」 などが挙げられます。
しかし、予備知識なしにこれらを聴いても、 「どこがクリスマスじゃい」という罵声が飛んで来そうです。 確かに歌詞のあるオラトリオの様な音楽ならいざ知らず、 器楽曲でクリスマスというのはどういうことかはちょっと分かりにくいですね。
実は、当時の作曲家が多用したオヤクソクから推察できます。 オモイキリ簡単に言えば、 バロック音楽では修辞学に基づいたオヤクソクがたくさんあり、 それらを曲に散りばめることによって、作曲家は器楽曲であっても メッセージ性をのある表現をすることができたのです。
この場合では、例えば、田舎音楽を表すドローン(*2)を使ったり、 テンポとしてゆったりとした6/8拍子が多く使われています。 また、リコーダーはその牧歌的な楽器の音色から、羊飼いを表すことが多く、 クリスマス音楽には多用されています。 羊飼いはキリスト誕生の際に重要な役割を果たしていたのは周知の事実です。
言葉を直接用いて訴えかける山下達郎も広瀬香美も良いですが、 こういうクリスマスの味わい方もいかがでしょうか?
注
今日の推薦CD: | |
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クリスマスに関するイタリア器楽曲ばかりを集めたCD。 その過激な解釈で一躍有名になった、 イタリアの新鋭(でもないかな)古楽合奏団による演奏です。 コレルリの協奏曲は冒頭からして過激。 「バロック音楽はおとなしい」というイメージを一気に払拭する演奏です。 タイコばりにバチバチ弾くリュートと、 アクセントを強調したチェロによる通奏低音も含め、一聴の価値ありです。 他に収録された曲は、いまいち馴染みのないものが多いですが、 こういうクリスマスもアリではないかと思います。 |