1999.03.23「RとL」

前回からずいぶんと間が空いてしまいました。 実は書きかけの文章はいくつかあったのですが、 全て実らず(オチが面白くない)ボツとなってしまいました。 結局、面白い文章は褌で逆立ちしたって(なぜ褌?)、出てきそうもないので、 今回はちょいと真面目な話。

皆さん英語は喋れるほうですか? 結構喋れる人でも、 rとlの違いをうまく発音できる日本人って少ないかもしれません。

コトの発端は、最近買ったCDにあります。実はこんな古楽野郎でも、 カラオケに行きます。友人はただでさえ少ないのですが、 更に減少が著しい最近では、おつき合いで行くことがほとんどです。 でも、歌うのは嫌いではなく、どちらかと言うと好きな方です。 予習用にCDレンタル屋に行って、ランキングTop10のCDシングルを一気に借りて、 一晩で聴いたりするなんていうアラワザもします。 J-Popと呼ばれる音楽は、大概レンタルで済ませることが多いのですが、 久しぶりに購入したのがMr.ChildrenのDiscovery。一曲目にCD名と同じ名前の Discoveryという曲があるのですが、桜井君、 モノのミゴトに`Discovery'を`Discovely'と発音してくれてます。 しかもたっくさんこの言葉を繰り返すモンですから、 居たたまれなくなって次の曲に早送りしちゃいます。

つまり、`l'という子音は日本語には存在しないため、あまり英語に親しみのない人は 一番「近い」(と思われる)`r'と混同しやすくなるんですね。

気になり始めると、気になっちゃうもんで、 他のアーティストもちょっと調査してみました。 「クリスマス」という単語を頻繁に使うクリスマスソングにありがちなのが、 ChristmasをChlistmasと発音すること。クリスマスソング定番の 中山美穂さんも稲垣淳一さんもやっちゃってます。かなりハズカシイ。 もちろん、ちゃんと発音している人もいて、 サザンの桑田佳祐さんや槙原敬之さん、山下達郎さん、 広瀬香美さんはrとlをきちんと発音し分けてます。 ちなみに、私は小室ファミリーは一切聴かないので、調査していません。 報告お待ちしております。

今日の推薦CD:
J.Hotteterre: "Premiere Flutiste Francais"
F.Bruggen(rec & fl), W.Kuijken (gamb), B.Kuijken (fl), B.Haynes (ob), G.Leonhardt (cemb), etc.
SEON, BVCC-7019-20, 1976 (1990)

古楽界では伝説的な演奏で、オトテールのCDとしては類を見ない完成度の高さです。 オトテールは、17世紀から18世紀にかけてフランス宮廷に務めた木管楽器を専門とする 一家で、その一家のひとり、Jac MartinはHotteterre le Romainとして有名でした。 その人が書いた教則本は、フランスバロック音楽の手本として、 現在も広く読み継がれている程です。

この幻の録音、1991にCDで復刻されましたが、最近また見なくなりました。 現在は指揮者の活動ばかりのブリュッヘンですが、このCDでは 「チリチリ」と異音がするまで楽器(リコーダー)を吹き切っていて迫力の演奏です。 サポートするのもガンバの名手W.クイケンとレオンハルト。 レオンハルトの即興による右手の演奏も圧巻です。 B.ヘインズのオーボエも「バカバカ」なる演奏で、とても思いきりの良い演奏です。

で、恒例のコジツケ言い訳タイム。オトテールによる教則本には、 管楽器のタンギングの発音として`t'と`r'が挙げられており、 「`l'じゃなくて`r'だよ」と言いたかったんですが…。苦しいですね。


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Copyright (C) 1999 Yusuke Hiwasaki