思いきり高い野望(というかムチャ以外のナニモノでもない)を 掲げた題名で書いて見ましょう。
バロック音楽のページを見回してみると、結構堅い文章が多くとっつきにくいです。 そこで、こういうナンパな題名を使えば、 バロック音楽ファンが増えるのではないかと いうアサハカな考えから飛び出した企画です。 「モテモテ」(*1)などという、 こっぱずかしい言葉を使った時点で、かなり行き先が不安だったりしますが、 キニシナイキニシナイ、ヒトヤスミヒトヤスミ。
今回のお題は、「バッハの無伴奏チェロ組曲」。
まずは、勉強タイムです。
あなたにキムラタクヤのような素晴らしい外見がない限り、 モテモテになるためにはある程度の努力が必要です。 とりあえずは曲の基礎知識から、分かりやすく箇条書で挙げましょう。
もうちょっとツウなネタを披露しましょう。
次に演奏も実際に聴いてみましょう。 この曲には様々なチェリストによるCDがヤマホドあり、 ヨー・ヨー・マも2回も録音していたりします。 バッハCDライブラリによれば、 実に60以上の演奏があるようです。どれが良いかって? ま、有名どころではヨー・ヨー・マやカザルス、古楽器ではビルスマなどが ありますので、知っている名前の人の演奏で良いと思います。 筆者のお勧めは、このページの終りを見て下さい。 チェリストだけでなく他の楽器を演奏する人までこの曲を演奏しているので、 比較して聴くのも非常に面白い曲と言えるでしょう。
この雑学程度で、安心してはいけません。 これだけでは、モテモテ度アップはいまいちです。 この知識の使い方を工夫してみてこそ、モテモテ野郎になれるのです。
皆さんは2,3年前のOnwardの宣伝に、 山口智子さんがソロサックスの音楽をバックに演じた、 モノクロ映像のスタイリッシュなCMがあったのを覚えていらっしゃいますでしょうか。 実はこの音楽が無伴奏チェロ組曲でした。 演奏は清水靖晃というジャズ・サキソフォン奏者によるもので、 石切り場や大きなホールの残響の長い場所を用いて録音したそうです。 原曲には重音が多用されており、1本のサックスだけでは演奏不能なので、 和音構成要員として`Saxiphonetts'という演奏団体がクレジットされています。 が、この団体、実は本人が多重録音して実現したようです。
ちなみに、最近、同じ人の演奏で、 住宅の宣伝にも使われているのでまた耳にする機会が増えてきています。
ジャズ風の過激なアレンジあり、しっぽりとしたアレンジありで、 「デートで夜の湾岸高速をクルージングしながら聴くのに最適」 という雰囲気のある演奏です。実はポイントはここにあります。
湾岸を流しながら、これをカーステでかけて、 さっきの知識をアレンジしてみましょう。
「バッハは、無伴奏ヴァイオリンのシャコンヌも良いけど、これも良いよね。」 「え、これってバッハなの? サキソフォンじゃないの?」 「バッハだよ。これは無伴奏チェロ組曲っていうんだよ。 ほら、Onwardの宣伝で使われてたでしょ。」 「へぇ、そうなんだ。」 「これは、ジャズサキソフォン奏者の清水靖晃という人が多重録音してやってるんだ。」 「ふーん。なんかいいよね。」 「20世紀になって、カザルスと言う偉大なチェリストが、発掘して世の中に 広めたんだ。200年以上も眠っていた音楽がこうして僕達の心に語りかけてる。 なんともロマンチックな話じゃないか。」
これで、「この人はバロックに造詣が深いけど、ヲタクじゃないのね(はあと)」と ポイントがアップするに違いありません(本当か????)。是非お試しあれ。
注
今日の推薦CD: | |
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バロックチェロの名手であるアンナー・ビルスマは、この曲を2回録音しており、 こちらはセオン盤の古い方の録音に当たります。 新盤もある意味円熟味のある良い演奏なので甲乙つけがたいのですが、 個人的には初めて聴いた時に非常にショックが大きかったこちらにします。 とにかく若々しい自由奔放な演奏です。テンポもかなり速め。 「これこそ古楽器だぞ」と言わんばかりの演奏なので、 好みが分かれるでしょう。 ちなみに、この録音はバチバチと指板に指が当たる音がするのが特徴的です。 本当に太鼓のようにバチンバチン言ってます。 アマチュアバロックチェリストのI氏によると、 日本人のバロックチェロ第一人者の鈴木秀美さんは、 「バチバチと音をたてるな」と言ったとか言わないとか。 モダンチェロの人達は確かにこういう傾向がありますが、 たしかにバロックチェロでバチンバチン言っている人は余り多くありません。 やっぱり特殊効果以外は、余計な音はたてない方が良いのでしょうか? |