2001年5月の「北欧でもがまんしましょう。」


01.07.01,Sun腕をふるってみる。
01.07.03,Tue損してみる。
01.07.05,Thu夕焼けをみる。
01.07.07,Satジョージと出逢ってみる。
01.07.08,Sun人口の少なくなった街を眺めてみる。
01.07.09,Mon風船をみる。
01.07.16,Mon育ててみる。
01.07.27,Fri暴露を我慢してみる。
01.07.29,SunGrindaを訪れてみる。
01.07.30,Monオペラを観てみる。

01.07.01,Sun 「腕をふるってみる。」

御主人様(仮名)がとうとうダウンしてしまったのだ。

せっかく満を持して自転車を買ったというのに、 これではサイクリングに行けないではないか。って、そういう問題ではない。

「どうもふらふらする」などと言うから、熱を計ったら38度。 どうやら、先週から痛み始めた歯が原因のようである。 かぶせモノの下に雑菌が入ってしまい腫れていたようなのだが、 それが身体全体に影響を出し始めたということか。

別に外に出かけないコト自体は問題ではないのだが、 精の付く食事を作ってあげる必要があろう。 彼女の好きな和食がいいかな。 日本国内であれば和食など当たり前のコトだろうが、 こちらでは材料が手に入りにくい(というか高価)ので、 結構贅沢なのである。えっへん。

と言うわけで、久しぶりに和食に挑戦である。 というか、和食などほとんど作ったことがない。 「久しぶり」なんて普段から料理をしている人が言う台詞だろう。 果たしてうまくいくのだろうか。

朝食:
みそ汁は少々塩辛いだけで済んだが、お粥は水が足りなくてただのご飯に。 しかも、他におかずはない。さみしいだけでなく、身体に悪い。

昼食:
湯揚げしたうどんを水にさらしたのは良いが、 そのまま汁の入っていた丼に落としたため、汁が冷めてしまった。 こういうときは、火にかけた汁にうどんを落とすのが正解であろう。 『熱いうどんで汗をかいて体温を下げる』計画は失敗。

夕食:
クリームパスタ。これは比較的うまく行ったようだ。 というわけで、3度目の正直である。

って、クリームパスタは和食ではないのだ。


01.07.03,Tue 「損してみる。」

ストックホルムはここのところ非常に天気が良い。

昨年の夏は曇りが多く雨が降りがちだったそうだが、 今年の夏と来たら、雲一つ無い晴れの日ばかりである。 気温も25度を超える暑さである。しかし、 連日35度などという発狂しそうなぐらい暑い毎日を耐えている日本の皆様のコトを考えると、 こんな悩みは贅沢なのかもしれない。

だが、よく考えてみると、 日本の家屋には通常エアコンという文明の利器がついているではないか。 こちらは例年ならば25度になるかならないかの気温にしかないので、 エアコンを備え付けた家は非常に希である。しかも、 冬を考えると「風通しの良い構造」などという観点から建物を設計しているはずもなく、 家に居ると窓を開けていても結構暑いのである。 「ヨーロッパは湿度が少ないんじゃないの」という突っ込みもあるかもしれないが、 ストックホルムはバルト海と湖に挟まれた街であり、 我が家のアパートも湖までわずか100mの距離であるため、意外と蒸し暑い。

せっかく夏が涼しい国に来たというのに、損した気がするのだ。


01.07.05,Thu 「夕焼けをみる。」

仕事を早めにあがり、学生連中とストックホルム大学の近くにある 体育館でバドミントンをして遊ぶ。 もっとも、「学生連中」と言っても、私と同じような年齢であるので、 研究室の仲間と言った方が適切か。スウェーデンの大学だというのに、 私の所属する研究室は実はスウェーデン人が1人しか居ない。 エストニアやらポーランドやらドイツやらと結構インターナショナルである。

その仲間の一人に、韓国から来たひとつ年上の男性が居る。 日本でも名の知られた大手電機会社を辞め、 博士号を取るために今年の初めから渡欧した。 手のかかる年齢の女の子2人を抱えて、 言葉のほとんど通じない国に5年も居ることを決めるには、 相当な勇気が必要だったに違いない。それに、スウェーデンという国は、 同じ西洋の風習を持ちながら合衆国とは生活習慣も全く異なる。 また冬は全く日が上がらないため、 いつも暗い風景に精神的にまいってしまう外国人も多いと聞く。

いつまでも日の落ちない道ばたのレストランで、 ビールの杯を交わしながらこの国のこと、 祖国のことなどについていろいろと話した。

僕にも、その半分、いや、四分の一の勇気さえあれば。


01.07.07,Sat 「ジョージと出逢ってみる。」

いよいよジョージがやってくる。

日本に居た頃は、我が家ではISDNを使っていた。 その前は、28.8kbpsのモデムを使用していたので、 ISDNにステップアップした時は「64kbpsなんてなんて速いんだろう」と 感激の涙にむせいだものである。アナログ回線では接続前に

「ぴーーーーがーーーーじゃーーーーがりがりがりがりごーーーー…」

などという音を聴きながら待っていたものだが、その必要もなくなった。 5秒ぐらいで接続されるし、しかも電話も同時に使える。 そういえば、28.8kbpsの前は…って、もういいか。

だが、スウェーデンに来てからは電話回線に頼っていた。 昔のアナログモデムに逆戻りである。 こちらにも当然ISDNもADSLもあるのだが、それに加入するのはやめていたのだ。 そもそも、こちらにはTeliaという 日本でいうところのNTTに相当する電話会社があるのだが、 いいかげんな対応しかできない、とんでもない会社なのである。 こんな会社にISDNなどを頼んだら、いつまで経ってもモノゴトが進展するはずがない。

ということで、現在のアパートに入っているケーブルテレビ会社の インターネットサービスを利用することにしたのだ。 これについても、いろいろと紆余曲折があったのだが、 めでたくケーブルモデムを店で受けとり、 晴れて500kbps上り、100kbps下りの広帯域接続を手に入れたのだ。

つまることの、ジョージ接続。

ごめんなさいごめんなさいもうこんなくだらない駄洒落はもうし


01.07.08,Sun 「人口の少なくなった街を眺めてみる。」

どんどん人口が少なくなっているのだ。

スウェーデン人は質素なライフスタイルを送ることで世界的に有名らしい。 もっとも、いくら働いても、税金で半分ぐらい持って行かれてしまうので、 そんな生活にならざるを得ないのか。だが、よく考えてみると、 この国は福祉国家なので老後のための貯金などをする必要もない筈である。 老後の生活の保障もされ、質素な生活に慣れている、というわけで、 どうやらスウェーデン人というのは一生懸命働くということを 夢にも考えない民族のようである。

ということで、7月はストックホルムの人口が著しく減少する季節なのである。 自称「自然を愛する国民」ということで、 田舎のコテージに籠もり、そこで更に質素な生活を送るらしい。 そこまでは良い。

問題は籠もる期間である。

というのも、4週間もの休暇を平気で取ってしまうのだ。 知り合いのドイツ人によると、

「我が社は7月中も営業しています。」

などという手紙が来たので、「何を当たり前のこと」をと思ったらしいのだが、 その会社以外は本当に全社を上げての休暇に入ってしまったとのこと。 8月ともなるとストックホルムはほぼゴーストタウンになり、 道を歩くは日本人観光客ばかりと言う話。

交通機関も「夏スケジュール」ということで、 10分おきに走っていたバスが、30分に1本などというとんでもない状態である。 のんびりとするにも程があるだろ。

人口が少なくなるのは良いのだが、何かと不便なのだ。


01.07.09,Mon 「風船をみる。」

ストックホルムではよく風船を見る。

風船

って、どう見ても風船じゃなくて熱気球なんだけどね。

えーと、くだらないボケはともかく、 どうやらストックホルムではこれは目玉観光アトラクションらしい。 Googleなどで、 「Stockholm balloon」などというキーワードで検索をかけると、 山ほどひっかかるのが分るだろう。よく考えてみると、 気球で空から首都を見物するなんてシャレた観光をしているところは 案外珍しいのではないか。

夏の間に乗らないと後悔するような気がするのだ。


01.07.16,Mon 「育ててみる。」

御主人様(仮名)が、何やら嬉しそうに鉢植えに水をやっていたのだ。

我が家は北向きで中庭に面して居るので、全く日が当たらない。 そういう事情では、鉢植えを購入したとしても、とても成長することは望めない。 ということで、その手のものは諦めていた筈なのだが、 いったいどこから手に入れたのだろうか。

しかし、どこかで見たような気がする。 根の方が白く、ひょろひょろとして長い緑の葉。

答えは、万能ネギだそうである。 こちらでは日本で言う「万能ネギ」が、 鉢に植わった状態でスーパーで当たり前のように売っている。 食べるつもりで購入したらしいのだが、情が移ってしまったのか。

っていうか、食えよ。


01.07.27,Fri 「暴露を我慢してみる。」

いやはや、しかしこう何も面白いことがない毎日だと飽きてしまうのだ。

普段は大学と自宅の往復。しかも通勤手段は自転車なので、 地下鉄でおかしな人に遭遇することもない。 せいぜい車に轢かれそうになるぐらい。

もっとも、御主人様(仮名)の言動は相変らずおかしいのだが、 日記のネタにしてばかりいると離婚の危機に瀕してしまうので、 いいかげんにしなければなるまい。一日中バイオハザードをやって、 ひさびさに外に出て「まぶしいっ」などと呟いていること など書いたらとんでもないことになるのだ。


01.07.29,Sun 「Grindaを訪れてみる。」

今年もやってきてしまったのだ。

そう。誰もが体験する年齢の更新日。平たく言えば誕生日である。 実際に私がいくつになったかはあまり訊いて欲しくないのだが、 もうこうなると半分諦めが入ってくるのだ。ということで、 そんな陰々滅々としたことは忘れるがごとく、 ストックホルムの群島に遊びに行くことにしたのだ。

意外と知られていないことだが、ストックホルム近辺にはたくさんの島がある。 その数42,000個というから、半端な数ではない。 ストックホルム自体も「バルト海のほとりの街」という一般的な印象よりは、 いくつかの島で構成されていると考えた方が自然なぐらいである。 夏ともなるとストックホルムの人たちは、 ジェットボートやらヨットやら公共フェリーなどを駆使して、 群島に遊びに行くのである。ということで、我々も現地の人に習って ストックホルムの夏を現地人流に楽しんでみることにしたのだ。

もちろん自家用船など持っているわけもないので、 公共フェリーを利用してGrindaという島を目指した。 名前は英語の「Green」に語幹が似ているが、やはり「緑の島」というコトらしい。 端から端まで2kmぐらいの小さな島である。 岩で寝っ転がって往来するヨットやボートを眺める。

View from Grinda

天気も良く、さほど暑くもない。 癖になりそうなぐらい気持ちが良いのだ。


01.07.30,Mon 「オペラを観てみる。」

オペラなのだ。

普段からくだらないことばかり考えている私ではあるが、 たまにはこういう話題を書いて、 意外とハイソな一面もあることをアピールしておかねばなるまい。 って書いた時点で、 どれだけ自分がつまらない人間かをアピールしている気もするのだが。

ところで、普通ヨーロッパで「オペラ」と言ったら、 ウィーンとかミラノとかミュンヘンとかなんとなく「音楽の都」系を 思い浮かべるだろうが、北欧もさほど捨てたモンではない。 目的地は、ストックホルムの郊外、Drottningholm宮殿の中にある "Drottningholm Slottsteater"である。

というのも、ここには18世紀の歌劇場が舞台装置も含めて ほぼそのままの状態で保存されており、 昔のままの形でオペラが楽しめる世界でも数少ない歌劇場である。 伴奏のオーケストラもカツラをかぶった人達が、 古楽器(18世紀当時の楽器)を操って演奏する。 受付も18世紀のお手伝いさん風の衣装。ただし公演は夏期間限定。

出し物はモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」。 ちなみに、私は今日のためにCDを買って予習までしておいたのだ。 というのも、曲を知らないと90%の確率で寝てしまうからである。 音楽を趣味にしている割には実に情けない。

しかし、休憩時間のドリンク売りのにーちゃんまで カツラをかぶって衣装を身につけているのには驚いた。 「徹底している」というよりかは、何となく「学芸会」的な印象がするのは、 いくら西洋人といっても昔の洋服は着慣れないからなのだろう。 日本人でも着慣れない羽織袴や着物を着てもなんとなくしっくりこないのと一緒か。

劇場内は暗く、室内はほこり臭く、エアコンもないので結構暑い。

Drottningholm Slottettheater

私は「昔のまま」ということの意味をきちんと理解していなかったようである。 まだまだ甘い。


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Last modified: Wed Oct 31 20:16:56 CET 2001