01.10.01,Mod | 『魔女の宅急便』をみる。 |
01.10.10,Wed | 研究者としての自分自身を省みる。 |
01.10.14,Sun | 久しぶりに独身気分を味わってみる。 |
01.10.16,Tue | 北限の街に着陸してみる。 |
01.10.17,Wed | トロムセを観光してみる。 |
01.10.18,Thu | 轢き損ねてみる。 |
01.10.19,Fri | 最北端で風に吹かれてみる。 |
01.10.20,Sat | ストックホルムに無事帰還してみる。 |
01.10.28,Sun | ココだけの話をしてみる。 |
01.10.31,Wed | ロシアの名物料理を食してみる。 |
宮崎駿監督のアニメ映画「魔女の宅急便」に出てくる街は、 どうやらストックホルムがモデルになっているらしいのだ。
私はこの事実をスウェーデン滞在28年という 牧野さんのページを見ていて知ったのだが、webでいろいろと調べてみると、 宮崎監督がいたく気に入ったストックホルムとアイルランド(ベルファスト?)の 街並を足して2で割ったようにしたとか。
検証のため、 大昔に御主人様(仮名)がTVより撮っていたビデオを見ることにした。 日本では最近DVDで再発売されたらしいが、こちらでは手に入りにくいのだ。
すると、なるほど、主人公の魔女見習いのキキが 街について初めて見かける時計台は新市庁舎にそっくりだし(でも時計はない)、 最初に降り立つ道はストックホルム目抜き通りのKungsgatanにそっくりである (ちなみに、Kungsgatanは 6/5の日記で見ることができます)。 しかも彼女が居候するパン屋の店内を良くみると、 スウェーデン特有の堅焼パン(レコードみたいな形をしている)が 窓際にかかっていたりする。「海が見える街」というのも一緒。
もっとも、市庁舎は丘のてっぺんに建っているわけでも、 時計台の隣りに街の中心広場があるわけでも、 水平線が見えるわけでもないのが実物との相異点であるが、 そこら辺の設定がベルファストなのか映画固有のものなのかは良く分らない。
ま、いずれにせよストックホルムは実に美しい街だと思う。
こう見えても私は一応研究者のハシクレなのだ。
でも、よく考えてみると一介の端クレでしかない。 どれぐらい端かと言うと、ノルウェーの北端地点 Nordkapp ぐらい端なのである。 ちなみに、Nordkapp は欧州最北端地点(英訳は North Cape)であるのだが、 今回はこの話題はあまり関係ないので忘れて頂きたい。
えーと、とにかく「端」というコトを強調したかったのだ。 というのも、私は帰国子女だったりもするのだが、 実は帰国子女というのは「日本語も外国語も不自由な人種」なのである。 ということで「理系」と言われる分野に進むのが一番、 とアサハカにも考え、とある大学の理工学部に進学したのだ。
しかし、これが大きな過ちの始まりだった。
大学院にギリギリの点で進学し、修士課程をなんとか終了、 とある企業に入社して研究所に配属され、 ダメモトで出したストックホルムへの留学希望が何故か受けいれられてしまったのだ。 我ながら、かなりの強運だとは思うのだが、最大の問題は、 研究所の配属先では私が最も苦手とする科目の知識が必要とされていたことである。 そもそも、私は勉強が大嫌いなのである。 「興味のないことは一切やらない」といえば聞こえは良いが、 とにかく嫌いなモノは嫌いなのっ。
しかし留学先は大学である。 ある程度金にまかせて力づくで研究を進める企業とは違い、 「理論が全て」のマナビヤである。という訳で、 難しい(というか私にとって難しい)理論に向き合おうともせず、 ダマシダマシやってきたツケが一気に回ってきたのだ。
実は自分の頭そのものが不自由だったということに気付く31歳、北欧の晩秋。
えーと、とにかく同じ日本人研究者として ノーベル化学賞おめでとうございます、ってことを言いたかっただけなのだが、 こういうのを月とスッポンと世の中では言うらしいのだ。
実は私の実の母が10日より来瑞しているのだ。
今回の旅行の目的のひとつに「オーロラが見たい」というのがあったのだが、 私も知人が来る度に休むわけにも行かないので、 旅程に全部つきあうのではなく後で合流ということにした。 幸い、先月のキルナ旅行で 御主人様(仮名)もオーロラ観測のノウハウを貯めているし。 ということで、御主人様(仮名)が居ないのだ。 久しぶりに独身気分を味わう良い機会である。
まずはビールを飲んだくれてみた。
500ml缶を3本ほど空けた時点で、腹がたぷたぷになった。
ゲームをやってみた。
久しぶりなので、下手になっていて全然面白くない。
もはやテレビを漫然と眺める以外、やれることは残されていない。 ストックホルムには友人が殆ど居ないので、 急に電話をかけて飲みに行ったりもできない。 大学に行って仕事をしても良いが、それでは折角の独身生活が無駄になる。 なんなのだ、この虚無感は。
追い打ちをかけるように、電話が鳴った。
「もしもし、御主人様(仮名)だけど、すんごいオーロラだよ!! この前より全然凄いよ。ばっちり写真に撮って置いたから。いやぁ、綺麗だよ。」
きいいいい。
そもそも飛行機なんかに乗るのはイヤだったのだ。
だがこれも母の命令である。母はどうしても我々が北欧に居る間に、
の二つを成し遂げたかったらしい。 両方ともかなり難易度の高い要求なのだが、 1については先日無事に成し遂げたらしいので良いとしても、 2についてもそう簡単にはいかないことが分かっていた。
というのも、こんなご時世のおかげで乗る人が少なく、 ノルウェーの北部を飛ぶ便が相次いでキャンセルされてしまったのだ。 と言うわけで、最北端のノールカップ(Nordkapp)に行くためには、 現状でかろうじて飛行機でたどり着くことのできる最北の街 ハーマフェスト(Hammerfest)より、車で移動せざるを得ない。
ちなみに、ヨーロッパ最北の駅はナルヴィック(Narvik)なので、 それ以北の移動手段は船か車に限られてしまうのだ。 と言っても、10月は既に北欧は観光のオフシーズンであり、 特に北部は雪が降るので船も便数が極端に少なくなる。 つまり唯一の移動手段は車なのだ。
と言うわけでキルナ(Kiruna)で無事オーロラを見た母一行と トロムセ(Tromsø)で合流することにしたのだ。気は進まないが、 しかたがない。昼前にストックホルムを発ち、 オスロで乗り換えてトロムセに着陸したのは16:00。 実に綺麗な夕焼けで空が赤く染まっていた。 町中はじゃりじゃりと音を立ててスパイクタイヤを履いた車でいっぱい。
よく考えてみると、日が暮れるのがストックホルムとも比べてかなり早いし、 町中の車がスパイクタイヤを履いていると言うことは、 既に雪が降ったという証拠である。 そういえば、飛行機の中には観光客らしき人はひとりとしていないかった。
この季節に北欧に来るのは本当にお勧めできないのだ。
ちょっとトロムセ(Tromsø)観光などをしてみたのだ。
もっとも、観光シーズンではないので営業しているところも非常に少なく、 市内は水族館ぐらいしか見るところはない。
フィヨルドの風景を見るべくレンタカーで走り回るがあいにくの雨。 北欧では秋から冬が雨期であるから、一般的にこの季節は暗くて寒い。
この季節に北欧に来るのは本当にお勧めできないのだ。
トロムセから飛行機で約30分ほど飛ぶと到着するのが、 ハマーフェスト(Hammerfest)という小さな街なのだ。
現時点では飛行機で到着できる最北端の街である。 飛行機と言っても、定員50名全席自由席の頼りないプロペラ機。 季節がら気候も悪く、揺れは激しい。 まさに田舎の未舗装道路をがたがたと走る乗り合いバスのような感じだ。
たったの30分のフライトだというのに疲労困憊して降り立った後、 レンタカーを借り受ける。というのも、 今夜の宿泊はノールカップ(Nordkapp)直前の街、 ホニングスヴォーグ(Hogningsvåg)であるため、 日が暮れる前に到着せねばならない。 生憎今日の気候も雨。気温が下がれば雪になる可能性だってある。 ハマフェストからはおよそ180km。あまりゆっくりとはしていられない。
というわけで一路北に向けて走ったのだ。 ところが、途中の村を60kmぐらいの速度で通り抜けている最中、 カーブを曲がったとたん奴らは現れた。
「あ、危ないっ。」危機一髪で、のそのそと道路を横断しているトナカイの親子の間をすり抜けた。 本当に危なかった。
そう、トナカイである。 年末になるとサンタクロースを乗せたソリを引っ張って、 空を縦横無尽に駆けめぐるともっぱらの噂の例の動物である。 しかし、冷静になって考えてみると、 そもそもトナカイはここら辺では野生の動物だったような気がする。 人間様が暮らす村の周りでのどかに草をはんでいる場合ではないだろう。 では、百歩譲ってここら辺で飼育されていたとしても、 国道を自由に歩きまわらせるというのはイカガなものか。
ちなみに、このトナカイがヘラジカ(Moose)だった場合、 車と衝突すれば車にダメージを食らうのは当然のこととして、 乗員の怪我は必至、最悪の場合は死亡する可能性もあるという。 くわばらくわばら。
いずれにせよ、この季節に北欧に来るのは本当にお勧めできないのだ。
昨日までの雨模様とは違い、晴れたのだ。
ただ風は非常に強く、 空を見上げると雲がどんどん流されていくのが確認できる。 うっかりしていると通り雨にも遭遇しそうだ。 もっとも、雨期ということを考え併せると、 かろうじてでも晴れていると言うのは上出来ではないか。
本日の目的地はホニングスヴォーグ(Hogningsvåg)から、 約30km北に向かったところにあるノールカップ(Nordkapp)だ。 ここは車で到達することのできるヨーロッパ最北端地点である。 その北極海を望む断崖絶壁の先端には地球を模した像があり、 夏至ともなると沈まぬ太陽を見物しに世界各国から大勢の観光客が押し寄せるようだ。
もちろん、今は観光シーズンオフということもあり、全く人影はない。 こぎれいな観光客向けの建物の扉には板が打ち付けてあり、 何者も寄せ付けない雰囲気を漂わせている。 さすが飛行機がキャンセルされるだけある。 こんな最北端の僻地にこんな時期に来る人など居ないのだ。 事実、我々がそこに滞在した間、他の人間の姿を見ることはなかった。
気温は2度。昨晩は雪も降っていたようだ。 その上、容赦なく北極海から吹き付ける強風。 スキーウェアや手袋を着用していてもこの風はかなり身に凍みる。 風を受けながら、ぱちぱちと無駄な写真を撮っていると尿意を催してきた。 朝ホテルを出る前にコーヒーをがぶ飲みしたのが原因か。
便所らしき建物に近づいてみると、 なんとこの入り口にも板が打ち付けてあった。 へんぴな時期に来る観光客を打ちのめすがごとく、 無情にもベニア板は私を阻んだ。 やっぱりこんな時期に北欧を旅行するモノではない。
しかし、よく考えてみるとヨーロッパの土地に我々より以北に人は居ない。 最後に車とすれ違ったのは10km以上南だ。 ここで犯罪を犯したところで誰も知る人は居ないのだ。 では、せっかく犯すのならばスケールの大きな犯罪を。
ということで、御主人様(仮名)と母には車の中で待っていてもらい、 崖から北極海に向けて放尿してみた。夏に押し寄せる観光客は、 まさかこんな場所でこんなコトをした奴がいるとは夢にも思うまい。 えーと、私にとって「スケールの大きな犯罪」とは、所詮、 海に向かって立ち小便するだけのことなんですが。
というか、逆風が激しくて自分の靴に降りかかったのはここだけの秘密なのだ。
いよいよ帰るだけなのだ。
昨日のウチにノールカップ(Nordkapp)からハマーフェスト(Hammerfest)まで 戻っておいたので、あとは飛行機に乗ってストックホルムまで 先日の旅程と全く逆を辿って帰るだけである。 つまり、旅程はHammerfest→Tromsø→Oslo→Stockholm。
2回もの乗り継ぎを経てストックホルムに着いたのは午後7時だったのだ。 ちなみに、オスロからストックホルムの間は飛行時間が1時間程度しかないのに、 きっちり機内食が出てくる。離陸したと思ったら料理が出てきて、 間髪入れずにコーヒーを注ぎに来て、あっという間に片づけられてしまう。 なんだか「一応国際線だから義理で食事出してます」といった感じである。 いずれにせよ、やはり飛行機に長時間乗るのは疲れるのだ。 アーランダ空港に到着したらあたりは真っ暗であった。
しかし、今回はいつもと一味違うのだ。
家までダイレクトにたどり着くために、 空港に付随する長期駐車場に我が愛すべき ジャクリーヌ号を停めておいたのだ。 えっへん。
実はこの長期駐車場、 空港からはちょっと距離があるので無料シャトルバスに乗る必要がある。 だが、バス停に行って気づいた。「アルファ駐車場」行き、 「ベータ駐車場」行きの二つがあったのだ。
しまった。長期駐車場が2つあったとは不覚である。 駐車場内のどこに停めたかは駐車券にメモっておいたから分かるが、 どちらか駐車場かは分からない。うーむ。
そうだ。こう言うときは、日本古来の方法で決めるに限る。
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な、 て・ん・の・言・う・と・お・り、 な・の・な・の・な、た・ま・て・ば・こ、 か・き・の・た・ね」よし。ベータ駐車場行きだ。もうこれで決定だ。この方法に間違いはないっ。
案の定、見事にはずれたのだ。
週末は、具合が悪くて寝ていたのだ。
どうやら、 先日の旅行から回復する暇もなく大学に復帰したのが敗因らしい。 もう既に来瑞してから半年も経ってしまったので、 あまり悠長にのんびりと研究をしているわけにもいかないのだが。 もっとも、私は有能な研究者ではないので、 形だけでも一生懸命やっているフリをする必要があるというのはココだけの話なのだ。
それに、母親が水曜に帰国するまでいろいろ世話を焼いたのも、 一層疲労を加速する理由になってしまったようだ。 母も気を遣って「ほっといて良いのよ」と言ってはくれるのだが、 せっかく私を頼ってはるばるオフシーズンの北欧に来たのだ。 「あ、そう」となどと言って本当にほったらかしにしたら後で何を言われるか と思ったのもココだけの話なのだ。
ま、いずれにせよ今週末は、 回復のために家からほとんど出ずにごろんごろんすることにした。
ごろんごろんするには当然テレビは欠かせない。 普通の人はごろんごろんしながら読書でもするのだろうが、 私にとってはテレビが必須アイテムなのだ。我が家のケーブルテレビでは、 Discovery Channelが選べるので、いつものようにそれを見る。 科学や歴史などのドキュメンタリー特集ばかりを一日中やっているこのチャンネル、 やみつきになる面白さなのだ。ちなみに、日曜の夜だというのに、 月曜の朝まで無駄に見てしまうこともあるというのはココだけの話なのだ。
しかし、なんだか様子がおかしい。
何故だか、実際にやっている番組と 番組表に記載されているのが1時間ずれている。
さらに、新たな発見をした。パソコンの時間も狂っているのだ。 壁に掛かっている時計と比べると、ちょうど1時間遅れている。 パソコンの分際で時間を間違えるなど、言語同断ではないか。 いくらWindowsが信用ならないOSだからといって、これはあまりにも酷すぎる。
えーと、ヨーロッパでは10月の最後の週末に、 夏時間から標準時間に戻るということをすっかり忘れていたのもココだけの話なのだ。
私が現在お世話になっている研究室は、非常にインターナショナルなのだ。
まず、教授がオランダ人で、助手はデンマーク人。 そして、ドイツ人の学生が1人、 スウェーデン人が1人、エストニア出身のロシア人2人、韓国人が1人。 「スウェーデン王立工科大学」というのに、スウェーデン人はたったの一人である。 ちなみに、エストニアはバルト海はスウェーデンの対岸にある旧ソ連の国で、 船ですぐだ。ソ連時代ほどではないにしてもロシア人が意外と多いと聞く。
この大学では研究室に籍を置くのは博士課程の学生だけで、 あとは3ヶ月の期限で卒業研究をしにくる学生が一時的に来るだけである。 ちなみに、この卒業研究で手に入る資格は修士課程。 この大学には学士という制度がないらしい。何だかずるい気もするな。
教授は人生の半分以上をアメリカで過ごしているというのもあって、 研究室の公用語は英語であるのだが、これもよく考えてみるとおかしな話だ。 学科でも異色の研究室であることは確かで、 他の研究室とあまり仲が良くないのはココだけの話である。
だが、インターナショナルということは、メリットもある。 例えば我々は韓国料理大好き夫婦であるので、 韓国人の学生夫婦からはいろいろなレシピを教えて貰っている。 現に今も冷蔵庫では御主人様(仮名)が作ったキムチが漬かっているし、 時々チゲ鍋やプルコギも食す。
今回は、ロシア人の学生がエストニアにちょっと帰郷するというので、 わざわざお願いして買ってきて貰ったモノがこれ。 ぱっと見はコロッケだが、
これがキエフカツレツである。出来合いのものであるが、 オーブンで熱々になるまで暖めるのが美味しく食べる秘訣のようだ。
なんだか、私がこちらに来て、食ってばかりいるような気がするが、 決して気にしてはならないのだ。