ドイツ生まれのバッハは、オルガン奏者でもあり、 オペラ以外のあらゆる分野の作曲をしました。彼の作品の中には、 バロック時代の総合的、多様な要素が含まれていて、 また宗教曲をたくさん作曲しています。
残されている5曲のトリオソナタには、 バッハの作であるとは疑わしいものも含まれ、今日取りあげた作品も、 その一つ。
この作品は、穏やかな流れにのせられ、階段を滑らかに上るような ‘ラルゴ’に始まり、その滑らかな音型は、中頃から躍動し、 色彩に富んで美しさを増してゆきます。‘ヴィヴァーチェ’ はそれぞれの声部で奔放に飛び回る16部音符の追いかけっこ。再び緩やかな ‘アダージョ’では1歩1歩足を運ぶような低音の上に流れる2本の もの悲しい旋律。そして希望の光に向かってゆく‘プレスト’ でこの曲は閉じられます。
ドイツ生まれのヘンデルは、たくさんの声楽作品を生みだし、 その合間に器楽曲を作曲しました。
当時、彼のクラヴィーア組曲を演奏することは、 魅惑的でやりがいのある仕事と言われていました。 それは、今日も同じことで、ヘンデルの作品を楽しむには、弾き手にも、 聴き手にもヘンデルの豊かな感性のきらめきを共感する心が大切だと思われます。
この作品は、即興的で自由な流れのある‘プレリュード’に始まり、 穏やかに平安な‘アルマンド’、喜びに活気のあふれる‘クーラント’、 そして、跳躍する舞踏‘ジーグ’で曲は締めくくられます。
ドイツ生まれのテレマンは、たくさんの室内楽曲を作曲し、とにかく、 膨大な数の作品を残しました。
彼の作品は、演奏しても、聴いても、まず楽しめるのです。きっと、 それが彼のなによりの願いであったに違いないと思われます。 この作品は、軽快に口笛を吹くような‘アレグロ’に始まり、 その旋律が次の楽器に受け渡され、会話を楽しむように進んでゆきます。 ‘アフェットゥオーソ’では、その会話が穏やかに暖かく、 そして親密なものとなり、寄り添い合い、そして、‘プレスト’ 一目散に駆けだし、あっという間に終わります。
フランス生まれのルクレ−ルは、ヴァイオリニスト、舞踏家でもあり、 たくさんのヴァイオリン作品を作曲しました。
彼の作品は、和声が多様で色彩に富み、また、演奏に高度な技術 を必要とします。
この作品は、フランス風序曲での‘オーバーチュア’に始まり、 陽気な舞曲の‘フォルラーヌ’(しかし、陽気だけでなくニュアンスに富んでいる。) 色彩豊かな‘サラバンド’、軽やかに優雅な‘メヌエット’、おどけて、 からかうような雰囲気の‘バディナージュ’バスの定旋律の上に上声部が絡み、 繰り広げられる‘シャコンヌ’そして最後の締めくくりは、 賑やかなお祭りのような‘タンブーラン’